2006年11月02日
[編集部]映画の楽しみ方(その7)
こんにちは。
キャンパスドットコム大学編集部です。
ディレクターズカットなるものがある。ハリウッドではヒッピーやベトナム
戦争映画、アメリカンニューシネマといったカウンターカルチャーの時代を終
え、1970年代後半あたりから芸術性よりも大衆受けする作品制作が優先さ
れるようになる。以降プロデューサーや出資会社の意向が作品に色濃く反映さ
れることとなる。一定の評価を得た作品でかつ名声のある監督が公開時にはプ
ロデューサーらによりカット・編集を余儀なくされた部分をDVDなどで監督
自身のオリジナルとしてリリースすることになる。
日本でも最近は「なんとか製作委員会」ばやりで広告代理店やなぜかTV局
がその多くに名を連ねる。もちろんそういった組織作りにより大々的な宣伝が
可能となりビジネスとしてはリスクの軽減・分散化されることも理解できる。
但し、往々にして予測される事態として監督の作家性は失われ、なんとなく平
均点的な作品が生まれることとなる。皮肉なことにこういった文化がハリウッ
ドの映画ビジネスを支えているのも現実である。
《堅ゆでーで観る...》
「ハードボイルド」という言葉はたぶん読者にとっては死語であると思う。
まあ簡単に言うと、クールでタフガイでそれでもって体制に媚びることを良し
とせず、金銭的にも安定を求めない。そのくせ女に弱い(ゴルゴ13を除く)
だいたいこんな記号化された主人公を想定すればよい。「男はタフでなければ
生きていけない、優しくなければ生きている資格がない」。男のロマンやねー。
どっぷりと自分の仕事(探偵か刑事)につかっちゃってるのでたいていはまと
もな家庭も持っていない。(そんなとこもかっこいい?)
ドン・シーゲルとイーストウッドが作り上げた「ダーティーハリー」のハリ
ー・キャラハンはこの分野では異色で鮮烈。傑出したキャラである。水道管が
破裂していようが車がビュンビュン走ってる街中だろうがご自慢の44マグナ
ムを犯人めがけてぶっ放す。ラストシーンでは人質をとられようが自分の腕を
信じてぶっ放す。バリバリの勧善懲悪刑事ものである。イーストウッドのまっ
たりとした動き・歩き方もいままでにないヒーロー像。なぜかいつもまぶしそ
うな眼。まあとにかくカッコよけりゃOKなのである。
同年代の刑事もの「フレンチコネクション」もいいぞ。タフなハックマンと
ロイ・シャイダーのコンビで犯人を自白に追い込む軽快なやりとり。かの有名
なカーチェイスシーン(電車を車で追跡)のスピード感はこの年代(71年)
では出色。とにかくなにかにとりつかれたように犯人をこれでもかと追いつづ
けるポパイ刑事は多少人間味には欠けるがこれはこれで新鮮である。(どうで
もいいことだけど筆者は張り込みのシーンで食べてるコーヒーとかパンとかが
妙に気になった)
古典的なハードボイルド探偵像としては誰もが知ってるチャンドラーの創出
した私立探偵フィリップ・マーロウがまさに雰囲気だ。筆者はどちらかという
と「さらば愛しき女よ」の御大ミッチャムよりも「ロング・グッドバイ」のグ
ールドが好き。(監督ロバート・アルトマンびいきがかなりはいってるけど)
けだるく退廃的な雰囲気でいえばミッチャムのほうが原作に近いかも知れない
けど。ネタバレ覚悟だけど、ラストでグールドが自分を裏切った親友に制裁に
行った帰り道でこれまた裏切られた女とそ知らぬ顔ですれ違うシーン。うまい
ねー。タイトルではブレイク寸前のジョン・ウィリアムズによるジャジーなロ
ング・グッドバイのボーカルそしてエンドロールに流れる風刺の効いた「ハリ
ウッド万歳」やられた。脇を固めるライデルの切れた演技やギブソンの得体の
知れない雰囲気も良い。ちなみに前者には「ロッキー」直前のスタローンが、
そして後者にはまだ無名だけどムキムキのシュワちゃんがどうでもいいチンピ
ラ役で出ている。かなり笑えるぞ。
これも古典だけどハメットの生んだ探偵サム・スペードもの「マルタの鷹」
もなにげに楽しい。ご存知ボガードのこれでもかーというぐらいの巻き舌ぶり
も楽しいし、どんな状況でも妙にタカビーな態度とプライドをコケにされるこ
とに異常に過剰反応し、ひとつ間違えば「表面だけの小さな奴」になりそうな
キャラの微妙さも人間味があってOKだね。いつの世にも男はバカなのだー。
あ、それと「チャイナタウン」の探偵ギテスことニコルソンもいいぞ。ポラ
ンスキー監督のレトロ感いっぱいのおしゃれ映画。ゴールドスミスのけだるい
メインテーマと若くしてすでにむちむちオバハンのダナウェイ。かっこつけて
るくせにお間抜けで妙に力の弱い人間味溢れる変種の私立探偵もの。ご自慢の
眉毛つりあげニコニコ笑顔ありーの、上目遣いのまったりトークありーので若
きニコルソンのあくの強さをこれでもかーと堪能できる一品です。
...ちなみに私はどちらかというと、「堅ゆで」より「半熟」が好きです。
(トリビア高橋克実風にね)
キャンパスドットコム大学編集部です。
ディレクターズカットなるものがある。ハリウッドではヒッピーやベトナム
戦争映画、アメリカンニューシネマといったカウンターカルチャーの時代を終
え、1970年代後半あたりから芸術性よりも大衆受けする作品制作が優先さ
れるようになる。以降プロデューサーや出資会社の意向が作品に色濃く反映さ
れることとなる。一定の評価を得た作品でかつ名声のある監督が公開時にはプ
ロデューサーらによりカット・編集を余儀なくされた部分をDVDなどで監督
自身のオリジナルとしてリリースすることになる。
日本でも最近は「なんとか製作委員会」ばやりで広告代理店やなぜかTV局
がその多くに名を連ねる。もちろんそういった組織作りにより大々的な宣伝が
可能となりビジネスとしてはリスクの軽減・分散化されることも理解できる。
但し、往々にして予測される事態として監督の作家性は失われ、なんとなく平
均点的な作品が生まれることとなる。皮肉なことにこういった文化がハリウッ
ドの映画ビジネスを支えているのも現実である。
《堅ゆでーで観る...》
「ハードボイルド」という言葉はたぶん読者にとっては死語であると思う。
まあ簡単に言うと、クールでタフガイでそれでもって体制に媚びることを良し
とせず、金銭的にも安定を求めない。そのくせ女に弱い(ゴルゴ13を除く)
だいたいこんな記号化された主人公を想定すればよい。「男はタフでなければ
生きていけない、優しくなければ生きている資格がない」。男のロマンやねー。
どっぷりと自分の仕事(探偵か刑事)につかっちゃってるのでたいていはまと
もな家庭も持っていない。(そんなとこもかっこいい?)
ドン・シーゲルとイーストウッドが作り上げた「ダーティーハリー」のハリ
ー・キャラハンはこの分野では異色で鮮烈。傑出したキャラである。水道管が
破裂していようが車がビュンビュン走ってる街中だろうがご自慢の44マグナ
ムを犯人めがけてぶっ放す。ラストシーンでは人質をとられようが自分の腕を
信じてぶっ放す。バリバリの勧善懲悪刑事ものである。イーストウッドのまっ
たりとした動き・歩き方もいままでにないヒーロー像。なぜかいつもまぶしそ
うな眼。まあとにかくカッコよけりゃOKなのである。
同年代の刑事もの「フレンチコネクション」もいいぞ。タフなハックマンと
ロイ・シャイダーのコンビで犯人を自白に追い込む軽快なやりとり。かの有名
なカーチェイスシーン(電車を車で追跡)のスピード感はこの年代(71年)
では出色。とにかくなにかにとりつかれたように犯人をこれでもかと追いつづ
けるポパイ刑事は多少人間味には欠けるがこれはこれで新鮮である。(どうで
もいいことだけど筆者は張り込みのシーンで食べてるコーヒーとかパンとかが
妙に気になった)
古典的なハードボイルド探偵像としては誰もが知ってるチャンドラーの創出
した私立探偵フィリップ・マーロウがまさに雰囲気だ。筆者はどちらかという
と「さらば愛しき女よ」の御大ミッチャムよりも「ロング・グッドバイ」のグ
ールドが好き。(監督ロバート・アルトマンびいきがかなりはいってるけど)
けだるく退廃的な雰囲気でいえばミッチャムのほうが原作に近いかも知れない
けど。ネタバレ覚悟だけど、ラストでグールドが自分を裏切った親友に制裁に
行った帰り道でこれまた裏切られた女とそ知らぬ顔ですれ違うシーン。うまい
ねー。タイトルではブレイク寸前のジョン・ウィリアムズによるジャジーなロ
ング・グッドバイのボーカルそしてエンドロールに流れる風刺の効いた「ハリ
ウッド万歳」やられた。脇を固めるライデルの切れた演技やギブソンの得体の
知れない雰囲気も良い。ちなみに前者には「ロッキー」直前のスタローンが、
そして後者にはまだ無名だけどムキムキのシュワちゃんがどうでもいいチンピ
ラ役で出ている。かなり笑えるぞ。
これも古典だけどハメットの生んだ探偵サム・スペードもの「マルタの鷹」
もなにげに楽しい。ご存知ボガードのこれでもかーというぐらいの巻き舌ぶり
も楽しいし、どんな状況でも妙にタカビーな態度とプライドをコケにされるこ
とに異常に過剰反応し、ひとつ間違えば「表面だけの小さな奴」になりそうな
キャラの微妙さも人間味があってOKだね。いつの世にも男はバカなのだー。
あ、それと「チャイナタウン」の探偵ギテスことニコルソンもいいぞ。ポラ
ンスキー監督のレトロ感いっぱいのおしゃれ映画。ゴールドスミスのけだるい
メインテーマと若くしてすでにむちむちオバハンのダナウェイ。かっこつけて
るくせにお間抜けで妙に力の弱い人間味溢れる変種の私立探偵もの。ご自慢の
眉毛つりあげニコニコ笑顔ありーの、上目遣いのまったりトークありーので若
きニコルソンのあくの強さをこれでもかーと堪能できる一品です。
...ちなみに私はどちらかというと、「堅ゆで」より「半熟」が好きです。
(トリビア高橋克実風にね)


