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[編集部]映画の楽しみ方(その23)

こんにちは。
キャンパスドットコム大学編集部です。

 最近の映画における映画監督という存在はそのカリスマ性・作家性・芸術性
という意味では一時代前に比べるとその価値を失いつつある。ディレクターズ
カットのくだりでもお話したように映画作りの重要要素である編集作業の最終
決定権(ファイナルカット)を得るためには製作者に名を連ねるか契約で前も
ってその権利を確保するしかないのである。
 デビッド・リンチのカルトな名作「砂の惑星」は監督の意向では4時間にも
及ぶ大作であったが製作者のラウレンティスの手により2時間あまりに編集さ
れ監督名も匿名「アラン・スミシイ」でクレジットされた話は有名である。

 とはいえ人生・愛・友情・家族を演出し、虚構の世界を構築できるいわば神
のような存在に誰もが憧れ、オープニング/エンドクレジットの最後にその作
品の創造主のみに与えられる”Directed by”で名を残すことができる。

 現在のハリウッド監督はその生い立ち仕事振りから数パターンに分けられる。
その作品の特徴を捉えておくとなお一層深く映画を楽しむことが出来るぞ。
・ごく少数だがスピルバーグ、ルーカス、キャメロンのようにその知名度と潤
 沢な資金力で製作と監督、そして新人監督発掘までもやってのけるもの。
・「ダ・ヴィンチ・コード」のロン・ハワードのように娯楽大作からヒューマ
 ン系まで幅広いジャンルを制作できるハリウッド派を継承する職人監督たち。
・ティム・バートンや前出のデビッド・リンチのように商業的なヒット作を出
 しながらも監督個人の嗜好性・作家性を貫くもの。
・メジャーではあるがウディ・アレンやガス・ヴァン・サントのようにインデ
 ィーズ系を軸としてハリウッドのシステムから距離を置くもの。
・「フェイス/オフ」のジョン・ウーや「ロボコップ」のポール・ヴァーホー
 ヴェンのように自国で成功を収めた後にハリウッドへ進出したもの。
・最近話題のイーストウッドやレッドフォード、メル・ギブソンのように俳優
 出身で監督でも成功を収めているもの。
※レッドフォードの主宰するサンダンス映画祭からはタランティーノやロバー
 ト・ロドリゲス、ソダーバーグといった監督がその名をあげている。

 という訳で今回も面白みに欠ける説明的前置が長すぎる気もするけど、気を
取り直して前々回から引っ張ってるアカデミー賞あたりを切り口に筆者大好き
監督をマイフェイバリット・ランキングなのだ。(本当にゴメンヨー)

《監督ショーで観る...》

 ベスト1は「スティング」で監督賞に輝くジョージ・ロイ・ヒル。
 「スティング」では娯楽作品としてのすべての要素と小気味良いどんでん返
しの面白さをふんだんに盛り込み、おまけにレトロでお洒落な音楽と衣装で楽
しませてくれた。スコット・ジョプリンによるラグタイムの名曲「エンターテ
イナー」はこの映画の1930年代の雰囲気をうまく伝えている。
 「スローターハウス5」でみせた独特の世界観の構築、その持ち味は後期の
傑作である「ガープの世界」で結実した。ジョン・アーヴィング原作のこの映
画にはちょっと風変わりで意固地な登場人物がいっぱい出てくるのだが、監督
ロイ・ヒルのそのまなざしは暖かい。
 ニューシネマ&青春映画の傑作「明日に向かって撃て」は「スティング」同
様ポール・ニューマン&ロバート・レッドフォードの出世作。前にも書いたが
ヒロインのキャサリン・ロスの揺れ動く心、ニューマンとレッドフォードの友
情と青春のはかなさを伝えてあまりあるロイ・ヒルの演出に拍手。 

 第2位にはスタイリッシュな映像職人トニー・スコット監督をあげたい。
 兄のリドリー・スコットとCM製作会社で成功を収めた後に、トム・クルー
ズの出世作となった「トップガン」でその名を知らしめた。オープニングから
いきなり繰り広げられるミグとトムキャットのドッグファイトシーン、トム・
クルーズとケリー・マクギリスの輝き(ラブシーンはいまいちだけど)がもち
ろん見所なんだけど、ジョルジオ・モロダー作曲のオープニングタイトル曲ケ
ニー・ロギンスの「デンジャー・ゾーン」、アカデミー賞獲っちゃったベルリ
ンの「愛は吐息のように」そしてエンディングのチープトリック「マイティウ
ィング」とサウンドトラックの名作でもある。ちなみに若きティム・ロビンス
とメグ・ライアンが端役で出ているのも要チェック。
 好き嫌いが分かれるが、ダコタちゃんとデンゼル・ワシントンの「マイ・ボ
ディガード」、ブラッド・ピットとレッドフォードの「スパイ・ゲーム」では
オープニングからおもいっきり映像編集遊びで楽しませてくれた。近作の「デ
ジャヴ」では再度ワシントンと組んでいる。(筆者はまだ観ていない)
 
 アカデミー賞作品賞・監督賞・主演男優賞の主要部門を獲得した「フレンチ
コネクション」はウィリアム・フリードキン監督とハックマンの出世作。あた
かもドキュメンタリー映像のようなインプロヴィゼーションをみせながらも良
質な娯楽作品に仕上げている。その手腕はホラー映画の草分けでもある「エク
ソシスト」でも発揮される。賛否両論ではあるがロイ・シャイダーを主演に抜
擢したリメイク版「恐怖の報酬」の緊迫感もすごい。
※「エクソシスト」では耳に残る「チューブラー・ベルズ」、「恐怖の報酬」
 ではヴァンゲリスのシンセを凌ぐタンジェリン・ドリームのサウンドが快い。

 シドニー・ルメット監督の「狼たちの午後」「十二人の怒れる男」は良質な
人間ドラマ+社会派ドラマ=>娯楽作品でアカデミー賞ノミネートに輝く。パ
チーノと組んだ「セルピコ」では実話をもとに徹底して警察社会の腐敗をテー
マに据え、リアリティを追求した。晩年にはその輝きがないのは残念である。
 「スパイダーマン」のサム・ライミ監督は実は元祖スプラッタホラー監督。
筆者はホラー作品に興味はないが「ダークマン」の切なさは嫌いではないし、
コーエン兄弟も脚本に参加しているスラップスティックでブラックユーモア
いっぱいのコメディ「XYZマーダーズ」は大好きな作品。ケビン・コスナー
野球少年全開の「ラブ・オブ・ザ・ゲーム」では文字通り守備範囲の広さを見
せてくれた。
 兄弟で製作・監督・脚本をこなすインディーズ系コーエン兄弟の「ファーゴ」
「バートンフィンク」には奇妙な登場人物がいっぱい。ブシェミやジョン・タ
ートゥーロなど異色性格俳優も彼らの映画の常連である。
 メジャーなのに監督自身のトラウマや異形趣味に偏重している感があるデビ
ッド・リンチは作る作品すべてがカルト。でもその映像構築技術は確かで難解
な世界観であるにも関わらずファンは多い。ホラー嫌いな筆者はグロい表現は
×だが「ブルーベルベット」の妖しさとホッパーのキレた熱演には脱帽した。
 ティム・バートンも独特のオリジナリティを持つ監督だが、彼の作品のなか
では「バットマン」シリーズ、「マーズ・アタック!」そして彼が人間的な成
長を見せた「ビッグ・フィッシュ」あたりが筆者好み。
※バットマンを金持ちコスプレフェチとして復活させ、キャットウーマン、ジ
 ョーカー、ペンギンと魅力あるキャラ作りでコミック映画化のお手本を示し
 た。コミックヒーローを単なる英雄として描いていないところが面白い。

 「許されざる者」のイーストウッド、「トラフィック」のソダーバーグ、
「レインマン」のレビンソン、そして御大ポランスキー、ジャクソン、ミンゲ
ラ、ベントン、チミノ、フォアマン、ゼメキスと監督賞受賞は納得である。
筆者大好きスコット兄とデ・パルマはまだ受賞できていないけど。(残念!)

♪この腕に還りなさいめぐり逢うため奇跡は起こるよ何度でも魂のルフラン♪
《ちなみに次回は連載最終回なの..ホヨヨー》
編集部映画コラム | 投稿者 編集部 19:13 | コメント(0) | トラックバック(0)
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